宮城県気仙沼市
店舗(和菓子)・工場
鉄骨造 2階
和菓子屋・気仙沼紅梅は、東日本大震災で大きな津波被害を受けました。当時の店舗は避災後、解体となりました。
本計画は、避災前の場所に、和菓子屋・気仙沼紅梅を再建する計画です。
敷地は、復興の先行街区と位置づけられ一端であり、区画整理の道路工事とも並行して工事が進みました。
先行街区の目標空間は、登録有形文化財の角星店舗を筆頭に、昭和初期頃の気仙沼を連想させる建物イメージで街区外周部を覆うように街並み作るもので、ヒューマンスケールの復興を目指したものでした。
- 紅梅の建築計画は、菓子製造機の設置のため、鉄骨造とする必要がありました。
一方で建築デザインとしては、街区イメージと連動した昔ながらの馴染みやすさと、新鮮さが必要だと考えました。 - 工場の天井高さが必要なため、建物には高さが必要でしたが、1階の連続庇で通り沿いのヒューマンスケールをつくりました。
- 鉄骨造ながら木造の建物のようなデザインを外観に多用して、木の力を借りることで、時間を得たような馴染みやすさと、強さのある建築にしました。
- 昔からの地元の建物は海から家が見えやすいようにということで赤い瓦屋根としていたようです。紅梅での屋根はいぶし銀色としましたが、外壁の袖壁をベンガラ色とすることで店舗としてのアクセントをつけました。
- 一方で、店舗部に庇高いっぱいに連続する窓や、出窓や、スチールプレートのシャープな垂木をはじめ屋根まわりの繊細さで和風ながら新鮮な印象を与えられるように工夫しました。
- 外回りは堂々した佇まい。内部は柔らかい雰囲気としました。店内は明るい桐材を多用し、天井は桐の曲面天井となっています。梅をイメージした色のカウンターバックは、屋外からも水平窓を通して店内の柔らかさが伝わるようにしました。